土に接する仕事をしているHさんにとっては、自然界の力は、私たちが感じるよりも、ずっと大きなものなのだろう。地震や土砂崩れは、せっかく苦労して築いた基礎を、一瞬のうちにメチャメチャにしてしまう。台風が来れば、組んだ足場が飛ばされるかもしれない。台風でなくても、長雨が続けば仕事はできない。寒いのも辛いが、暑いのはもっと辛い。明日の天気はどうだろうと空を見て、夕焼けだったらホッとする。木を伐ること、土を掘り起こすこと、コンクリートを流し込むことは、自然に人間が手を入れることだ。
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だからこそ、自然に対して畏敬の念を抱き、理に適った方法で自然と付きあっていかなくてはいけないと、Hさんは考える。家ができたとき、お祝いにと、Hさんが、我が家の庭にミカンの木を植えていってくれた。自分の家の庭にあるミカンの木を、わけてくれたのだ。冬でも青々と葉を繁らせているミカンの木を見ると、寒くても暑くてもビシッと背筋を張って仕事をするHさんのようで、我が家に来る災いを追い払ってくれそうな頼もしさを感じる。