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一人で支えている柱の存在

2011.11.18

手軽に柱が得られたとはとても思えないような深い意味が、日本の木の柱には込められているからである。たとえば、伊豆の韮山の家の柱はどうだ。伊豆代官を一五九六年以来二百六十年余にわたり務めた家に入ると、まず広大な土間に目をうばわれる。何百年も人の足、おそらく裸足によって踏み固められた土の面は小さく凹凸を繰り返し、湿りを帯びて濡れたように光り、戸口近くの明るいところには緑の粉をまいたようにうすくコケが生えている。

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目を上げると、天井はなく、ススけた黒い丸太梁が走り、その向うには屋根裏の闇がわだかまる。地を見つめ、天をながめた後、この黒々とした大空間を一人で支えている柱の存在に気づく。抱えれば二抱えほど。表面を鉄の斧で粗く削っただけの丸太が土中から立ち上がり、中ほどには注連縄が張られている。ふつう柱は礎石の上に置かれるが、こいつはちがう。地ベタから直の掘立柱。もし自分かこの柱だったら、毎日どんな気分だろうか。靴も履かず、裸足の足を土の中に突っ込んで、背筋を伸ばし、重い屋根をしっかり支える。動くと危ない、屋根が崩れる。梅雨時はつらい、上に埋った足がふやけ、白癖菌がはびこりそうだ。夏はいい、足からの涼しさが体の中を上昇してゆく。





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